母の最期~①
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最終更新日:2021/02/03
母のこと
わたしのインフルエンザが完治したその日、母の定期健診に行きました。
朝、母のところへ行くと、まだパジャマのままで着替えもしていません。
「今日は病院行くのになんでまだ着替えてないの?」
と言っても、「あぁ、そうか」という返事が返ってくるだけ。
朝食にパンを食べていたので、薬の袋をあけて、母に渡し、薬を飲んだあとに、着替えを手伝いました。
シャツやセーターの着替え、手をあげるのも手伝わなきゃいけなくって、まるで子供に戻ったみたい。
自分の母親の、そんな姿を見るのがイヤで、イヤで、そんな母親を認めることができないわたし。
でかけるときになって、保険証や診察券がいつもの場所にないことに気づきました。
「なんで?いつもここに置いてるのに、どこに持っていったん?」
ってわたしが聞くと、
「ないか?さぁ、どこにいったんやろ?」
って母
母のそんな言葉にも腹がたち、
「着替えもでけへん、大事なものもどこへいったかわからへん。
もうこれ以上ひどくなったら施設に入るしかないな」
って、一番言ってはいけない言葉を言ってしまったわたし。
母は、そんなわたしの言葉にも、言いかえしもせず、「そうか」
っていうだけ
言ってしまったことにも腹が立ち、
何も言い返しもしない、おとなしい母に、キツイ言葉を投げかけてしまう自分自身に腹がたっていました。
診察券と保険証は、母親の上着のポケットから出てきました。
病院へ行くというのがわかってて、ポケットに入れたみたいですが、そのこと自体、すぐに忘れてしまってる母。
病院へ行く準備をしていると、
「うどんを食べたい」
と言い出した母。
「たぶん、また入院になるやろうから、退院してからでないとうどん食べにいかれへんよ」
とわたしが言い、タクシーで病院へ
この日は、血液検査、心電図、レントゲンと、検査の量が多いのと、総合病院なので、広いので、母を歩かせるのは大変だろうと思い、母を車いすにのせました。
すべての検査が終わり、循環器科の受付へ・・・
循環器科は、その日によって入院になる方もいるので、外来が長引いてる様子。
診察が午後からになるというので、わたしは母に
「うどん食べに行こうか?」
と言いました。
母は、うれしそうにうんうん、とうなずいて、「食べにいこ」
と言いました。
病院内にある食堂へ行き、母はうどん、わたしは日替わり定食を注文しました。
母は、目の前にたててあるメニューのトマトジュースをみて、
「トマトジュース飲もうかな」
というので、とにかく、目の前にあるものをすべて食べたくなっているのかと思い
「これからうどん食べるのに、トマトジュースなんて飲めるわけないやろ」
とキツイ言葉で言ってしまいました。
そして、注文していたものが運ばれてきて、母はうどんを、わたしは日替わり定食を食べました。
わたしのほうが量が多いので、母のほうが先に食べ終わっていました。
うどんを食べたあと、下をむいて、うなだれてる様子の母に、なんか異常を感じ、わたしは、
「どうしたん?しんどいん?」
と聞きました。
母は、目を閉じ、下をむいたまま、うんうんとうなずきました。
そして、大きな深呼吸をしたとたん、ガクンとなり、
手の先がピピッと痙攣しました。
わたしは、その姿にビックリして、すべてをそのまま放置して、
母を循環器科の受付まで連れていきました。
「すみません、ちょっと、母の様子がおかしいんですけど」
と、受付の看護師さんに言うと、
看護師さんも異常に気付き、すぐに奥の処置室に通されました。
—つづく—
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